▼Hot腫瘍とは  ▼Cold腫瘍とは  ▼Cold腫瘍はがん免疫療法抵抗性  ▼PTIとがん免疫療法抵抗性  ▼腫瘍タイプ別の免疫タイプ

 

Ⅴ. 腫瘍促進性炎症(pro-tumor inflammation:PTI)による抗腫瘍反応の抑制(2)

 

Hot腫瘍とは

「Hot」(またはT細胞の浸潤が多い)腫瘍は、細胞傷害性T細胞(CTL)が機能不全となって腫瘍進展を阻害できなくなっている腫瘍ですが、CTLの抗腫瘍作用が免疫療法によって回復する可能性があります1)

「Hot」(またはT細胞の浸潤が多い)腫瘍では、免疫系ががん発生を抑制するのではなく、むしろ促進してしまいます。初期にCTLが浸潤し、その数が増加しているにもかかわらず腫瘍が発生します。Hot腫瘍では下記の特徴がみられます1,2)
  I型IFNの活性化、T細胞を遊走させるケモカイン、抗原の存在、機能不全となったCTL
  免疫抑制性の制御性T細胞(Treg)および骨髄由来抑制細胞(MDSC)の高度な浸潤、PD-L1およびindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)の発現増加による免疫逃避機構の促進

 

 

Cold腫瘍とは

「Cold」(またはT細胞の浸潤が少ない)腫瘍は、免疫応答の欠如(無免疫)またはT細胞が浸透できない(免疫排除)ためにT細胞浸潤がみられない腫瘍です3)
  Cold腫瘍の腫瘍微小環境(TME)では、I型IFNシグネチャーの発現、抗原提示機構、およびCTLがほとんどみられません1)
  腫瘍によって、T細胞が浸潤しているものと浸潤していないものがありますが、その理由はまだわかっていません。

 

 

Cold腫瘍はがん免疫療法抵抗性

腫瘍のT細胞シグネチャーを調べることにより、免疫療法に対する反応性を予測できる可能性があります。現在の免疫療法は「Hot」腫瘍で奏効し、一方、「Cold」腫瘍は一部の免疫療法の耐性に関連しています(図11,3,4)
  これらの抗腫瘍作用が低下したCTLが、一部の免疫療法により再活性化されることを示唆する報告があります1)

 

PTIとがん免疫療法抵抗性

PTIでは、TME内の免疫抑制細胞(Treg、MDSC、TAM)が免疫療法の有効性に影響する可能性があります。

T細胞浸潤が減少する「Cold」腫瘍で、TME内の免疫抑制細胞の増加がしばしば観察され、その増加は予後および免疫療法に対する一次耐性と相関があります。
  血中および腫瘍に浸潤したMDSC数の増加は、予後不良および免疫療法に対する耐性と相関しています5-8)
マウス肉腫モデルでは、MDSC腫瘍浸潤の阻害により免疫療法の有効性が改善しました9)

 

 

腫瘍タイプ別の免疫タイプ

がんの部位によって、どのような免疫タイプが多いかが異なります(図23)

非小細胞肺がん(NSCLC)およびメラノーマではHot腫瘍が約半分を占めています。
逆に、前立腺がんではHot腫瘍は少なく、Cold腫瘍が約半分を占めています。

 

References
1) Trujillo JA, et al. Cancer Immunol Res. 2018;6(9):990-1000.
2) Titmarsh HF, et al. Front Oncol. 2020;10:54.
3) Hegde PS, et al. Immunity. 2020;52(1):17-35.
4) Vanpouille-Box C, et al. Trends Immunol. 2018;39(6):435-437.
5) Chen JJ, et al. J Clin Oncol. 2005;23(5):953-964.
6) Bjoern J, et al.Oncoimmunology. 2016;5(4):e1100788.
7) Weide B, et al. Clin Cancer Res. 2014;20(6):1601-1609.
8) Meyer C, et al. Cancer Immunol Immunother. 2014;63(3):247-257.
9) Highfill SL, et al. Sci Transl Med. 2014;6(237):237ra267.

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